なぜ財務分析・経営分析が必要か?②
- nabeshima55
- 7 days ago
- 4 min read
前回の続き
前記事を読んでいない方は、是非こちらからお読みください。
なぜ財務分析が大事なのか?最後の項目です。
3. 財務分析から先に繋がる!
企業・事業者の目的は、勿論まずは「生き残ること」、そして「成長していくこと」。
更にその先には会社を大きくして、「株式公開」だったり「第三者への売却」があるケースも多いです。
さて、では将来的に会社を売却していきましょう、となると当然ながら「出来るだけ高く売りたい」となります。
具体的に「高く売る」ということは、企業価値を高める、株式価値を高める、
ということに他なりません。
財務理論上、企業価値を高めるのは将来キャッシュフローが重視されます。
将来性がある、夢があるというのは勿論ですが、それらが定量的にもある程度証明できなければ、第三者や市場は価値を認めてくれません。
財務分析はあくまで現在の姿を映し出すツール。
過去に比べて、競合他社にくらべて、今の会社はどうなのか?を見ます。
そのうえで、課題を洗い出し、課題解決を行うことで財務体質を強化し、強固なキャッシュフローを生み出す会社にしていくためのツールです。
そしてこのツールを用いて数字面をしっかりと追いかけていくことが、将来の企業・事業の価値向上に繋がっていくということも出来ます。
■支援例その2
私が支援した別の会社では、「売上も上がっているし、利益も出始めているんだけど、金が足りなくて借入に頼らざるを得ない」というケースがありました。
確かに数値を見てみるとぱっと見は悪くない。特に損益計算書(PL)は非常に良い。つまり収益性が高いわけです。おや?と思って貸借対照表(BS)を見てみると、効率性が低い。
つまり売上債権(売掛金)や棚卸資産(在庫)が激増している状況。
安全性の観点で言うと、すぐに何か大きな危機が訪れるというレベルではないものの、確かに借入金が増えているし、流動性も落ちている。
典型的な黒字倒産に向かうパターンのような状況でした。
更に経営者の方に話を聞いてみると、
(1) 在庫は多いほど即納体制が取れるし、品切れの心配もない。
(2) 客先からの支払いは遅れ気味だが、最後には払ってくれるからまぁ大丈夫
(3) 買掛金は溜めておくの嫌だから期日関係なくすぐに払うことにしている
とのことでした。
これでは運転資金増大を招きます。
この事業者さんはキャッシュフロー計算書を作っていなかったので、
簡易キャッシュフロー計算書を作成して説明すると、
「え、そうなの?これまずいよね?どうしたらいいの?」と視覚的にもご理解を頂きました。
このケースではシンプルに在庫コントロールの徹底、売掛金の支払い督促実施、買掛金の期日通り支払をすぐに取り組んでもらい、以降大分資金的には楽になりました。
ちなみに、この事業者さんはその後キャッシュフローも安定し、
財務体質も大分よくなったため、取引先大手からの出資受け入れについて協議中です。
(それまでは取引先大手も、「ちょっと今のままだと出資は難しいですね」という反応だったそうです)
キャッシュフロー改善が企業売却(出資受け入れ)に繋がりそうなケースでもあります。
終わりに
大企業では営業部門等のフロント部隊もあれば、財務部門・管理部門等のバックオフィスもあり、財務分析は仕組化されているケースが多いと思います。
一方の中小企業・小規模事業者はリソースが限られていることや、まずは強みである商品力の強化や技術力の強化、主力商品・サービスの売り込み(営業)等に注力する必要があることから、どうしても財務面は優先度が低くなってしまうケースも多々あります。
そのため、我々のような支援者が、経営者に寄り添って会社全体の状況も理解しながら、
財務面のみならずあらゆる面で、現状分析・問題点/課題点指摘・対策立案/提案を行っていきたいと思います。
実行はあくまでその経営者さんご本人ですが、伴走しながら実行を側面支援していくことで将来に向けた成長をお手伝いできれば、と考えています。
Hozzászólások