【徹底分析】新事業進出補助金・第1回採択結果から見える「制度の進化」 〜事業再構築補助金の反省を踏まえた、使いやすく・実行しやすい新時代の補助金〜
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- Oct 5
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はじめに:第1回採択結果から見えてきた流れ
2025年10月1日、「新事業進出補助金(第1回公募)」の採択結果が公表されました。
応募件数は 3,006件、採択件数は 1,118件、採択率 37.2%。
かつての「事業再構築補助金」から制度がリニューアルされ、その「初回」という位置づけにもかかわらず、採択率は安定し、審査スピードもスムーズ。
この結果は、制度設計の成熟と、現場に寄り添う形への進化を物語っています。
ここでは、過去13回にわたる事業再構築補助金の推移と比較しながら、新制度のポイントと事業者にとってのメリットを整理します。

【事業再構築補助金第1回-第13回、及び新事業進出補助金第1回の応募件数/採択件数推移】
※新事業進出補助金公式サイト/採択結果ページ
採択結果の全体傾向 ―「量」から「質」への転換
第1回の採択率(37.2%)は、直近の再構築補助金(第13回:35.5%)とほぼ同水準。
一方で応募件数は大きく減少(約1/7)しており、より実行力と成長性を重視する企業が選ばれた構図です。
最も申請が多かった補助金額帯は2,000万円前後。小規模店舗の改修よりも、新市場への設備投資・デジタル化・新サービス展開が中心です。
つまり「新事業進出補助金」は、かつての“緊急的な業態転換支援”から一歩進み、
「将来の成長投資を後押しする補助金」に変わったと言えます。
制度疲労を乗り越えて ― 新制度で改善された3つのポイント
事業再構築補助金の途中回(第10~12回)では、次のような課題が顕在化していました。
課題(制度疲労の要因) | 新事業進出補助金での改善・進化 |
申請書類が煩雑で時間がかかる | フォーマットが統一・簡素化。電子申請のエラー率も低下。 |
採択までの期間が長い(最大130日) | 今回は申請から採択発表までわずか78日。スピード審査を実現。 |
補助要件が複雑・目的が曖昧化 | 「成長分野への投資」「新市場進出」と明確化。判断がしやすい。 |
申請ハードルが高く諦める企業が多かった | 売上減少要件を撤廃し、前向きな企業の挑戦を歓迎する仕組みに。 |
これにより、「わかりやすく」「早く」「申請しやすい」制度へと改善がされた形です。
従来のように“補助金慣れした企業”が有利という構造から、これから挑戦する企業にも門戸が開かれた点は大きな前進です。
「申請から約2か月半で結果」が新標準に
再構築補助金初期は発表まで約70日で推移していましたが、制度が複雑化する中で、第11回では130日まで延びていました。
一方、新事業進出補助金は申請(7/15)から採択発表(10/1)まで 78日間。
このスピードは、
電子申請システムの最適化
審査基準の整理
不備確認工程の自動化
などによるもので、政策運営のデジタル化成果が現れたと考えられます。
つまり「採択までの時間が読める」=事業計画と資金繰りの見通しが立てやすくなった点は、事業者にとって非常に大きなメリットです。
「選択と集中」― 支援対象の明確化が企業にプラスに働く
新事業進出補助金では、対象要件が絞られたことで、
自社の成長戦略と補助金制度の整合性を取りやすくなっています。
売上減要件の撤廃 → コロナ後に成長を続けている企業も対象
新市場進出・新製品展開・海外展開など幅広く支援
無形資産(ソフト開発、ブランド構築等)も補助対象に
加点項目が明確化(GX、海外展開、賃上げ等)
「補助金を取るための新事業」ではなく、「経営戦略の延長としての補助金」という位置づけに変化したことで、中長期的な成長投資がしやすくなりました。
Dezil Consultancyからのメッセージ:今こそ“攻めの補助金活用”を
新事業進出補助金は、事業再構築補助金の経験を踏まえて設計された“完成度の高い制度”です。
「書きやすい・通りやすい・使いやすい」という3拍子がそろい、制度疲労を経てより健全で戦略的な補助金へと進化しました。
今後の公募でも、特に次のような企業に大きなチャンスがあります。
自社技術を活かして新分野に進出したい
海外展開・デジタル化・GXなど成長領域に挑みたい
補助金を経営計画の起爆剤にしたい
Dezil Consultancyでは、単なる申請書作成ではなく、「採択されるための経営戦略」+「補助金を成長に変える実行支援」をセットで提供しています。
「再構築の次は『進出』へ。」
いま、補助金は単なる支援金ではなく、企業の未来を動かす“戦略ツール”になっています。
まとめ:補助金は「制度」ではなく「チャンス」
新事業進出補助金の第1回は、採択率・スピード・制度の明確さのすべてにおいて良好なスタートを切りました。
かつての制度疲労を経て、ようやく「企業が使いやすく、成果が出やすい補助金」へと進化した今、この波に乗れるかどうかが、今後3年の成長を左右します。
次回公募に向けて、自社の“次の一手”を補助金で後押しする準備を進めていきましょう。
Dezil Consultancyはそのパートナーとして、事業計画の構想段階から並走いたします。

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